2021-09-12

市中の山居より 第10回

ウイルスは新しい臓器の産みの親?

細胞がない。代謝を行わない。細胞内に入らないと複製を行えない。

「これ、な~んだ?」

「生物ではないですね」

「はい、生物ではありません」

「あ! ウイルスだ!」

「正解です」

ウイルスの種類は、わかっているだけで約6,600種類あるそうです。わかっていないウイルスは、その何十倍もいるだろうと言われています。

2020年の初めから、人類は新型コロナウイルスの猛攻撃を受けていますが、なぜ新型かと言いますと、私たちの臓器にはなんと39種類ものウイルスがいることが証明されていまして、今回のウイルスが40種類目と考えれば、新型ということになります。私たち人間は39種類のウイルスを宿しながら生き続けてきました。人間の体の中でウイルスが良い役に変化していったということかもしれません。たとえば胎盤を形成していったのはウイルスだった、人体の一番外側の臓器と言われる皮膚もウイルスのおかげで獲得したバリア皮膚になった。このことは遺伝子が証明しています。遺伝子を徹底的に調べれば、ウイルスがどの臓器に影響を与え、どの臓器を形成し、現在の私たちの体になったのかがわかるようです。

 新型コロナウイルスは? 視点を変えて考えてみましょう。アメリカの元大統領ニクソンが中国と和解し、中国が世界の工場として出発したことがグローバリゼーションの始まりと言われます。1970年にマイクロソフトがコンピューターを作り、IT時代の幕を開けました。形のない資産の時代、言い換えれば、お金はお金を増やすモノになった時代の始まりです。そこを新型コロナウイルスが襲い、人間を蟻地獄に。

 実体のない株式市場、ハイテク市場の好調が富裕層を作りました。この富裕層が社会の変化、成長を止めているのは明らかで、お金がお金を増やすモノになった現象は感染症とそっくりです。新型ウイルス・エコノミック・ストーリーは、これからも世界を襲う、そう私は予想し、恐れています。このような時代をどう考えるか。それこそが私たちの問題です。

 新型コロナウイルス禍は、ITによるグローバル化によって出現した、いわば欲望多き支配階級の大いなる失敗、そして、非富裕層の人々を待っていたのは孤独でした。孤独な人たちは夢を描きます。新型コロナウイルスは未来、私たちの体に大変化をもたらすのではないかしら、という夢です。ウイルスが胎盤を作る原因になったように、低酸素で生存できる新型肺の創生ということになるのかもしれません。ホモサピエンスはたかだか20万年の歴史ですが、新型臓器を獲得しつつ生存してきたのが、私たち人類です。

 実体なき経済、IT、新型コロナウイルスをつなぎ合わせ、歴史から未来を見ると、そんなふうに考えられます。そんな未来を思い浮かべながら、今、一杯の岩茶を味わっています。

(佐野典代)

関連記事

    関連記事はありません

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA